昭和基地のお正月

明けましておめでとうございます。本年も観測隊ブログをよろしくお願いいたします。新年ということで、昭和基地での年末年始の過ごし方を、62次隊の阿保敏広越冬隊長に聞きました!

――12月から1月、南極は夏ですね。
阿保:そうですね、我々越冬隊にとって12月は夏、太陽が沈まないこともあって、年末の感じがまったくしません。特に12月は、南極観測船「しらせ」がやって来て、新しい隊も昭和基地に入り、短い夏の間に物資の輸送や多くの建築作業、観測・研究を行います。さらに第63次越冬隊への引継ぎもあって、早朝から深夜まで連日大忙しとなります。

昭和基地ではこの時期、太陽が地平線の下に沈まない。天気の良かった昨年の年始に撮影されたもの。撮影:JARE62 阿保敏広(2021年1月2日22時から3時まで30分毎に撮影したものを合成)

――忙しいのですね。大晦日やお正月を楽しむ時間もないのでしょうか?
阿保:それでも、1年の区切りとして、大晦日と元旦は、しっかり休んで英気を養うことにしています。
62次越冬隊では、31日に大掃除をしました。その後、除夜の鐘に見立てたドラム缶を吊るす櫓(やぐら)を野外に組みました。さらにパン麺係という生活係が、年越し蕎麦を手打ちして、新年を迎える準備をしました。餅つきも事前に済ませています。

上:除夜の鐘やぐら製作チーム。中:通路棟をきれいにお掃除。下:年越しそばを打ってます。撮影:JARE62 阿保敏広(2021年12月31日)

――除夜の鐘とやぐらを1日で作ってしまうなんて、凄いですね。
阿保:23時頃からは“19広場”という昭和基地の看板の前で、蕎麦をゆで、除夜の鐘を撞きながら、白夜のなか、年越しのカウントダウンをしました。

1枚目: 除夜の鐘。2枚目:19広場で除夜の鐘と年越しそばに集まった隊員たち。3枚目:振舞われた年越しそば。4枚目:蕎麦には昭和基地で栽培された水菜を添えて。撮影:JARE62 阿保敏広(1-3枚目)、JARE62 赤松澪(4枚目)(2021年12月31日)

――元旦には昭和基地でも豪華な料理が出ると聞きました。
阿保:はい。1月1日は、新年の会を開き、越冬隊長挨拶と今年の抱負を隊員ひとりずつが発表して、調理隊員が腕によりをかけた“おせち料理”を頂きました。
途中、サプライズで、私の還暦のお祝いをして頂きました。赤いちゃんちゃんこと帽子は、隊員が南極に来てから縫ってくれたそうです。隊員全員の署名がある盃は、日本を出発する前から準備して持ち込んだとのこと、とても嬉しく、感極まりました。

1枚目: 濱谷内隊員がお正月料理を盛りつけ中。2枚目:新年おめでとう、乾杯! 3-4枚目:豪華な正月料理。撮影:JARE62 阿保敏広(2022年1月1日)

新年の会で記念撮影。阿保越冬隊長の還暦を祝って。撮影:JARE62 赤松澪(2022年1月1日)

――隊長の還暦のお祝いを日本から準備されていたなんて、観測隊の信頼関係が伝わってきます。忙しい中で新年の会を催されたということで、やはり新年は観測隊にとって大きな区切りということでしょうか?
阿保:この時期は、南極観測船「しらせ」が昭和基地沖に接岸しているので、日本からの物資を昭和基地に輸送する作業が連日あります。貴重な休日をみんなが休めるように、また残り少ない昭和基地での生活での思い出のひとつとなって欲しいとの思いはありますが、63次隊にすべてを引継ぎ、日本への帰路につくまでは気が抜けません。
そういう意味では、年越しよりも21日の越冬交代の方が本当の区切りとなります。ですから、新年の挨拶は、新年を祝うというよりも、みんな、ここまで1年よく頑張った、あともう少し油断せずに頑張ろう!という話をしました。

――交代まであと少し、ラストスパートということですね。お忙しいところありがとうございました!

(極地研広報室)