1往復目の復路、12月14日の話です。沿岸から約120km内陸のH216地点でキャンプ中の夜中に、1羽の鳥を発見しました。
はじめはゴミかと思い、回収に向かいましたが、近づいてみると生き物であることを確認。約1か月ぶりの9人以外の生命との遭遇でした。車両に戻ってカメラを取り出し、外にいた新居見隊員とともに接近していきます。
10m程度の距離まで近づいても鳥は逃げていきませんでした。ほかの隊員に確認してみると、「とうがも(トウゾクカモメ)」という鳥のようです。また、過去には500km内陸でも鳥を見たという隊員もいました。
その後、とうがもは飛び去っていき、数100m先で再び着陸しました。この鳥はいったい何を目的にここまで来たのでしょうか。このあとは内陸へ向かうのか?それとも再び海の方へ戻れるのか?現在地をどのように把握しているのか?500kmも内陸まで行ってしまったら食糧はどうするのか?南極が初めての隊員には疑問がいっぱいでした。
(JARE63 井上崚)