南極にある鉱物資源は「南極条約」によって採取が制限されており、研究・観測用以外で外に持ち出すことが出来ません。しかし、「氷」
南極の氷は、降り積もった雪が長い年月をかけて圧縮され、氷となったものです。氷の中には、雪が降り積もった時の空気が一緒に閉じ込められており、水を入れたコップに氷を浮かべるとプチプチと空気がはじける音がします。
左側が南極の氷。右側が普通の氷。南極の氷からは気泡が出ているのが分かります。
撮影:JARE62 阿保敏広(2021年3月8日)
また、その空気を調べることで、当時の地球環境を知ることができます。日本の観測拠点の一つであるドームふじ基地では、2007年に3000m以上の深さから氷の回収に成功しています。70万年以上前の地球環境を読み解く資料として非常に貴重なものです。先日のブログでも紹介し紹介した第3期掘削に向けた内陸ドーム旅行では、さらに深いところまで掘削するための場所選定を行う予定です。
その南極の氷ですが、国内での広報活動用にも、毎年採取が行われています。観測隊ではアイスオペレーションと呼ばれており、62次隊では11月11日に実施されました。
まずは氷を入れるための段ボールの準備です。このオペレーションのために国内から100箱以上の段ボールを持ち込んでいます。荒天で外出出来ない時を利用して、手空きの隊員で組み立てました。
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撮影:JARE62 金城順二(2021年11月4日)
氷の採取は昭和基地から雪上車で10分ほどの距離にある氷山で行われました。氷山は氷河によって海に流れ出たものです。大陸の上にあった氷(氷床)が雪の重さで何万年もの時間をかけて徐々に流れ、最終的に海に流れ込んで分離したものです。かつては大陸の上にあったと思うと不思議な気持ちになります。
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撮影:JARE62 赤松澪(2021年11月11日)
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撮影:JARE62 金城順二(2021年11月11日)
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撮影:JARE62 赤松澪(2021年11月11日)
同じ日にDROMLANの飛行機が給油のために飛んできたので、作業を一時中断して対応しました。遠くから写真を撮っていると、クルーの方からもっと近くで撮って良いよと声をかけていただいたので、ありがたく飛行機の近くで写真を撮影しました。
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撮影:JARE62 赤松澪(2021年11月11日)
給油を終えた飛行機は1時間ほどで飛び立っていきました。
そんなこんなでアイスオペレーションは1日がかりで完了。採取した氷は先日ドーム隊の食料を搬出し、空になった冷凍庫に運びこまれました。
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撮影:JARE62 金城順二(2021年11月11日)
この氷は、南極教室や関連イベント等で広報用として使用される予定です。ご覧いただく機会があれば、こうやって採取されているんだと思い出してもらえると嬉しいです。
(JARE62 金城順二)