南極観測船「しらせ」は、例年南極へ向けて出港する前の総合訓練として、国内各地を巡行し、海洋観測等の訓練を行います。
今年は新型コロナウイルス感染拡大状況もあり、「しらせ」の母港である横須賀以外の寄港地は呉のみとなりましたが、乗船前にPCR検査で新型コロナウイルス陰性であることを確認のうえ、横須賀~呉間および呉~横須賀間でそれぞれ一部の観測隊員や技術者が乗船し、「しらせ」乗員とともに観測訓練を行いました。(訓練航海の行動予定については、海上自衛隊のプレスリリースをご覧ください。■総合訓練について ■総合訓練の一部変更について)
今回はそのうちの前半(横須賀~呉間)について報告します。
横須賀~呉間では観測隊長、輸送担当、庶務担当等が乗船し、観測・設営計画に係る打ち合わせや、実際に南極を往復する航路での「しらせ」船内での生活等についての調整を行いました。
乗船した9月6日(月)は「しらせ」が横須賀港沖合に停泊中だったため、隊員は海上自衛隊横須賀地方総監部から作業艇(ボート)で横須賀港沖合まで移動し、「しらせ」に乗船しました。当日は波が高く、作業艇での移動中は思いのほか揺れたうえ、天候の関係でボートに幌(覆い)がかけられていたため、多くが船酔いの洗礼を浴びることとなりました。なお、この時横須賀港には英軍の空母クイーン・エリザベスが停泊しており、幌の窓からその姿を確認することができました。
航行中は「しらせ」での訓練の見学、関係者との打ち合わせ・調整、船内設備の確認や通信機器の接続テスト等を行いました。
今年は新型コロナウイルスの影響により、これまでに観測隊と「しらせ」乗員の方々が顔を合わせる機会が限られておりましたが、今回直接顔を合わせてコミュニケーションをとることが出来、大変充実した時間を過ごすことができました。
南極への出発前の準備期間は残り僅かとなりましたが、万全の態勢で臨めるよう、気を抜かずに準備を進めます。
(JARE63 白井あゆ美)