7月29日、極地研内の隊員室に勤務している隊員を対象に、輸送担当の千葉隊員によるスチールコンテナ(通称スチコン)の組み立てに関する講習が行われました。
近年ではDROMLAN(ドロンイングモードランド航空網)を利用して南極入りするオペレーションが増えましたが、航空機は人員輸送が中心で、物資を大量に輸送することは不可能です。そのため、日本から約14,000km離れている南極・昭和基地までの物資輸送のほとんどは、南極観測船「しらせ」によって行われます。
「しらせ」による輸送は年に1回だけで、12月中旬~翌年2月上旬という南極の短い夏の期間に「しらせ」から昭和基地や内陸への物資の送り込みと、昭和基地から「しらせ」へ廃棄物を含む持ち帰り物資の積み込みが行われます。それと同時に、輸送した物資を使った建設作業や内陸旅行、野外観測などを計画しており、悪天候などの自然条件も考慮すると、限られた期間に効率よく進める必要があり、オペレーションも複雑になります。
夏期オペレーションで使用する物資を早期に搬出できるようにしておくことや、越冬用と夏用の物資とが混在しないようにすることなど、輸送物資を「しらせ」へ積み込む際には細心の配慮が必要とされます。また、重量制限が厳しいヘリコプターによる空輸には、物資の重量を正確に記載することが要求されます。南極観測の成否は、梱包段階から始まる一連の輸送作業にかかっているといっても過言ではないのです。
今後の梱包作業が本格化するのに備え、隊員たちは、多くの物資の梱包に使用されるスチコンの組立方法や台秤の使用方法等について千葉隊員から説明を受けたあと、少人数のグループに分かれて、実際にスチコンの組み立てと収納の練習を行いました。
(JARE63 馬場健太郎)