南極の地図を見たことはありますか。
日本の南極観測地域では、1次隊(1956年)から『基準点』という位置の基準となる点を設置し、航空機からの空中写真などを使用して地図を作成してきています。この地図作成に関する作業にも野外観測は欠かせません。
今回は、奥岩、日の出岬、ルンドボークスヘッタ、スカーレンといった露岩域で、地図作成のために必要な基準点の位置を求めるためのGNSS観測や対空標識の設置・保守などを行ってきました。対空標識というのは、空中写真や衛星画像上で基準点の位置を判別できるようにするための目印で、現在はペンキで三枚の羽を描いています。
南極での測量は、現地情報の少ない場所、かつ限られた時間の中での作業となるため、事前準備に加え、現地での対応力やチームワークなどが重要です。今回、天候やサポートにも恵まれ、各露岩域で無事に作業を行うことができました。これらの成果をもとに、今後、より正確な地図や標高データの整備・更新を行っていきます。
*南極地域の地図の一部は国土地理院ウェブサイトの地理院地図から見ることができます。
(JARE62 井出順子)