「赤道には、赤い線が見える。」
そんな話を聞きました。
「本当だろうか・・・?」
私は疑い半分、赤道通過時間に合わせて外に出て、カメラを片手に海を眺めていました。
赤道に近づくにつれて、波は高くなっていました。
船体に当たった波しぶきが巻き上がり、私のほうにもかかってきていました。
私は眺め続けました。
アナウンスが流れます。
「赤道通過10秒前・・・5秒前・・・」
「赤道通過!」
11月27日15時40分に我々は赤道を通過しました。
何も見えません。
「やはり、何も見えなかった・・・。そりゃあそうだよな。」
そう思ったその時、
こんなものが見えたのです。
線が見えるでしょうか!
私が見たのは、赤い線・・・いや、もっとカラフルな虹色の線でした。
船体左側の水しぶきがプリズムとなり、船体右前から照り付ける太陽の光を屈折し、虹色の線を作っていたのでした。
私にとっては記憶に残る赤道越えの瞬間でした。
ちなみに、甲板には赤道をイメージした赤い線が本当にあり、隊員が思い思いに赤道を飛び越えていました。
(JARE62 新居見 励)