地磁気絶対観測

丞です。

小学校の理科の授業などで、方位磁針が北を指すのは地球が大きな磁石であるためという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。この地球が持っている磁界のことを地磁気といいます。

4月7日、ここ昭和基地における地磁気の向きと大きさを正確に測定するための地磁気絶対観測が行われました。

地磁気絶対観測が行われる地磁気変化計室
撮影:JARE61 吉井聖人(2020年4月6日)

地磁気は常に変動しており、太陽からのプラズマ放出やオーロラ粒子の降下など地球外からの影響があったときなどにも大きく変動します。地磁気絶対観測の目的は、地球中心部の流体核の運動に起因する地球内部磁場の長期変動のモニタリングですので、太陽活動などに起因する突発的な変動をなるべく避けるため、地磁気が静穏で風が弱い日の昼間に、原則として毎月一度行われます。3月上旬以降は地磁気の変動幅が大きかったり荒天が続くなどして観測を実施する基準を満たさない日が続いたため、この日は約2か月ぶりの観測になりました。

観測は二人一組で行われ、宙空部門の佐藤隊員が磁気儀を操作し、同じく宙空部門の山本隊員がデータを記録していきます。観測値に影響を与えないように、金属類(磁性体)を極力身に着けない服装で測定します。室内とはいえストーブなどの暖房器具はなく、厳冬期には-10℃を下回る環境で約23時間に及ぶ観測となります。

昭和基地では、1966年(第7次隊)以降、この絶対観測が継続して実施されており、同一地点での長期間に渡る貴重なデータをいまも蓄積し続けています。

以上、丞でした。

観測の準備する佐藤隊員とその補助をする山本隊員
撮影:JARE61 吉井聖人(2020年4月6日)

  

 

(JARE61 丞)