こんにちは。茨城県から参りました教員派遣の北澤佑子です。今回のブログでは、南極授業についてご報告いたします。
応援してくださった方、ご協力してくださった方、ご来場いただいた方など皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
ご報告が遅くなってしまい、大変申し訳ございません。
中継先は、1月25日(土)にミュージアムパーク茨城県自然博物館、1月27日(月)に茨城県立守谷高等学校。
授業開始時刻は日本時間14:30頃だったのですが、日本と南極昭和基地とでは6時間の時差があるため、8:30からの開始となりました。
機材の確認や通しリハーサル、接続試験など本番に向けて、総勢12名の隊員みんなで一丸となって準備を進めて参りました。
ときには、授業内容やスライドについて熱い議論を交わしたり、移動中継のコード取り回しの練習など何度も予習を重ねたり…。汗と涙の日々でした。
準備中の昭和基地はこんな(↓)感じです。
授業本番、両日ともに昭和基地では天候に恵まれ、19広場からLIVE授業をスタートすることができました!気温は約2℃、この日は比較的あったかい日でした。
理科の学習では、観察・実験がとても重要です。
そこで、南極の生きものを生きたまま観察してもらいたいと考えました。
海氷観測チームに同行させていただき、皆様のご協力のもと、授業に登場したお魚に出会うことができました。
環境科学棟というところで水質や水温(-1~+1℃)を保ちながら、20日間以上の飼育に成功することができました。
昭和基地には幸い雪(氷)がたくさんあるので、雪(氷)を補充しながら水温を保つことができましたが、海水の確保はとっても大変でした。海が凍って海氷が張っているからです。
隊員の皆さんから応援をいただき、他にも南極に関わる実物がたくさん登場しました。
LIVE中継先の会場の皆さん、守谷高校の生徒さんの興味関心が高まっている様子を見て、私もとても嬉しかったです。
さて、今回の授業テーマは大きく分けて2つあります。
1つ目は南極海。
南極海は海氷があったりと、とても冷たい海。しかし、そこは生命を育む豊かな海。私自身、驚きでした。冷たい南極海は、実はとっても(ある意味)あったかな海だなと感じました。
ゲストティーチャー(真壁さん、山崎さん)をお招きして、さまざまな方法で南極海を観測する意義や長期的に観測して変化を捉える調査・研究をしていく重要性も学習しました。
人間活動がほとんど行われていない南極では、地球の姿(地球環境)を正確に知ることができるのです。そして、地球の未来を読み解くことにもつながるのです。日本の南極観測は60年以上も続けられています。
2つ目は協働・共同生活。
南極での観測を支えたり、生活を営んでいくのに重要な※設営について着目しました。
もちろん各部門ではプロフェッショナルな隊員がいますが、限られた人数でさまざまなことを行っていくために、協働することはとても大切なのです。
上の写真は、バルク輸送といって燃料を「しらせ」から昭和基地までホースで運ぶのですが、みんなで力を合わせて行っている様子です。医療隊員も調理隊員も観測隊員などもみんなで協働します。
食料搬入や建築作業、その他の活動も協働していくことが欠かせません。
力を合わせようとする一人一人の心が大切で、皆さん熱い想いを持って協働しています。
南極の生活では、当直といって学校の日直のような役割を輪番で行います。
掃除にお皿洗い、ゴミの処理のお手伝いなど。
お皿洗いをしていると、ご飯を済ませた隊員のみなさんが「アルバイト募集してない??」などとたくさん声をかけてくれて、一緒にお皿洗いをしてくれます。
共に生きる仲間だから他人事には決してしない、他者の幸せを願ったり共に幸せを創って共有していける、そんな熱い南極魂を感じました。
日本にいるとき以上に、人とのつながりを感じ、そのつながりの中で生きていることを実感していることを授業にてお伝えしました。
「南極は人間も科学も育てる場所」という言葉があります。南極海での海洋観測も協働・共同生活もまだまだ続きます!よーしっ、今日もいってきます!
※設営について
設営隊員は昭和基地のさまざまな設備を維持管理し、観測や生活を支える重要な役割を担っています。
設営には様々な部門があります。昭和基地の発電機や電気、車両などを担当する機械部門、建設や建築物の維持を担当する建築・土木部門、環境保全部門、通信部門、LAN・インテルサット部門、多目的アンテナ部門、調理部門、医療部門、野外観測支援部門、輸送部門、庶務部門、情報発信部門などです。
(JARE61 北澤佑子)