将来の観測を支える白夜の氷上輸送

日本の南極観測では輸送が肝と言われます。物資輸送のほぼすべてを「しらせ」に頼っており、年に一回しか輸送のタイミングがないためです。毎年の輸送を確実に行うことは、将来の観測や昭和基地を支える、観測隊の重要なミッションです。

 

1月51450分に昭和基地沖約400mに「しらせ」が接岸した後、速やかに昭和基地の燃料タンクと「しらせ」のタンクをホースで接続して、昭和基地のディーゼル発電機を動かす燃料の輸送を開始、17日の昼までに全600キロリットルを輸送しました。同日深夜からは、約1.5mの海氷の上で雪上車を使って大型物資を運ぶ氷上輸送を開始し、18日早朝までの間で、大型物資約240トンを昭和基地に運び入れました。深夜に氷上輸送を行うのは、気温が低く、海氷やその上の雪が安定した状態の間に実施する必要があるためです。現在昭和基地は白夜の季節で、深夜から早朝にかけて、観測隊員と「しらせ」乗組員が協力して、白夜の氷上輸送を実施しました。

「しらせ」のクレーンで雪上車を海氷上に降ろすところ
撮影:JARE61 熊谷宏靖 2020年1月6日(深夜0時頃)
「しらせ」から海氷上に降ろしたコンテナを雪上車で昭和基地に運ぶところ
撮影:JARE61熊谷宏靖 2020年1月6日(23時頃)

輸送を担当する山田嘉平隊員は、昭和基地への貨油輸送と持ち込み大型物資の氷上輸送が終わったあともほっとした様子も見せず、昭和基地からの持ち帰り物資の氷上輸送とヘリコプターを使った空輸に向けての準備を進めています。

 

最後に、昭和基地の見晴らし岩に設置された定点カメラのタイムラプス動画をご覧ください。15日の接岸から、18日早朝の持ち込み物資の氷上輸送が終了するまでの様子です。

編集:極地研 広報室

 

JARE61熊谷宏靖)