ドローンによる海氷モニタリング

63次隊では、4月末のブリザード明けに澤柿越冬隊長が昭和基地周辺の海氷の一部が流出して水面が開いているのを発見して以来、約1ヵ月にわたりドローンを利用して基地周辺の海氷状況の監視を続けています。

ドローンを操縦する様子。寒さが厳しいと手が痛くなってきます。
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年5月2日)

昭和基地のある東オングル島と南極大陸とは、幅約4kmのオングル海峡で隔てられています。南極観測船「しらせ」が昭和基地周辺に来ている12月後半から2月初めであれば、「しらせ」に搭載されたヘリコプターでオングル海峡を飛び越えていくこともできますが、それ以外の期間は凍結した海氷の上を雪上車やスノーモービルを使って移動することになります。しかし、基地周辺の海氷が流出して開放水面が広がってしまうと、海氷上を移動できなくなり、野外での活動が制限されてしまうことになります。

昭和基地(手前)と南極大陸(奥)の間にあるオングル海峡
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年5月13日)

海氷状況の監視には、人工衛星の画像も用いられていますが、詳細な様子をとらえるには現地にいる我々が実際に確認するのが一番です。昭和基地では、ブリザード後の降雪状況の確認や施設・設備の管理などのために複数の部門がドローンを使用しており、そのような部門の隊員がローテーションを組み、428日から天候の許す限り毎日交代で基地の周囲360°の海氷状況をドローンで撮影しています。ブリザードの影響で6日ぶりにドローンによる海氷監視を行った526日には、基地の西の方角の水面が開いているのが確認できました。

昭和基地上空から西オングル島方向を見た様子。奥に黒い水面が見える。
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年5月26日)

(JARE63馬場健太郎)