こんにちは。
国立極地研究所 南極・北極科学館です。
今日は、南極・北極科学館に展示している「南極の氷」についてご紹介します!
南極では、降った雪が押しかためられてゆっくりと氷に変化します。
空気を含んだ雪が氷になるため、氷がとけるときには、
気泡がはじけてぱちぱちと音がします。
長い長い年月をかけて氷になる南極の雪。
氷の中に閉じ込められているのは、太古の空気です。
よく「この氷はとけないんですか?」と聞かれますが…
もちろん、普通にとけますよ
皆さんにすぐに触っていただけるように、特に冷却設備などを設けておらず、
そのまま展示していますので、夏はもう…とけてとけて、
朝出した直径30㎝ほどの氷が昼にはなくなるくらいです。
「家で製氷機で作った氷よりもとけない気がする!」と
おっしゃる方もいますが…そんなことはありません。とけます。
とける前に新しい氷を出すようにしていますが、もし氷がなくなっていたら、
科学館の受付にお声がけいただけると幸いです
南極の氷は、広報活動に使用するため、南極観測隊員が毎年
越冬期間の終盤に採取しています。
この作業を「アイスオペレーション」と呼んでいます。
氷点下の中、隊員たちは総量1トンにもなる氷を砕いて
ダンボールに入れるという作業をしています。
その大量の氷を、観測船しらせに載せて日本に持ち帰ります。
詳しくは、昭和基地NOW!!のアイスオペレーションの記事をご覧ください↓
第59次隊: https://www.nipr.ac.jp/jare/now/back59/20181107.html
第58次隊: https://www.nipr.ac.jp/jare/now/back58/20171204.html
第57次隊: https://www.nipr.ac.jp/jare/now/back57/20161118.html
さて、その南極の氷、いったいどこに保管しているのでしょう?
実は、極地研究所には「低温室」と呼ばれる低温試料貯蔵室、低温実験室があります。
http://polaris.nipr.ac.jp/~coldlab/NC2/htdocs/
この「低温室」は、南極や北極から持ち帰った大事な試料が保管されているため、
普段は非公開です。年に1回、極地研究所の一般公開の日のみ、
公開しています(事前予約制、人数制限があるため抽選です)。
南極・北極科学館の「南極の氷」も、この低温室に保管されています。
南極・北極科学館の冷蔵庫に保管している氷がなくなったら、
科学館スタッフが低温室に取りに行っています。
このように科学館の近くに段ボールが干してあったら、
「あぁ、氷を取って来たんだな」と思ってください
南極の氷、そしてその氷に含まれている空気を調べることは、
現在進行中の地球温暖化や、地球全体の気候、水や物質の循環などの
研究に結びつきます。
南極の氷を見て触ることで、地球の環境を考える切っ掛けになればうれしいです
【南極・昭和基地】午前4時(日本時間:午前10時)
天気:晴れ
☆白夜12日目
【東京都立川市】午前10時
天気:晴れ
気温:11.5℃