こんにちは。
国立極地研究所 南極・北極科学館です。

現在開催中の企画展示「南極観測隊と動物たち」の展示に、
新たに「カラフト犬慰霊の像」を加えました!

この慰霊の像は、1959年3月、昭和基地に建立されたものです。
第46次隊(2004~2006年)まで、基地近くの小高い丘にありましたが、台が老朽化したため、
しばらく隊長室で保管し、第49次隊(2007~2009年)が日本に持ち帰りました。

第49次隊の「昭和基地NOW!」でも、
「今日午後、樺太犬慰霊祭が行われました。この観音像は、第1次観測隊とともに昭和基地にやってきて、
日本に戻ることなく亡くなってしまった樺太犬の霊を慰めるために建てられました。
第49次隊では、建立から50年近い年月を経た観音像を日本に持ち帰ることになったため、
観音像を木箱に納める前に第49次観測隊隊員全員が集まって慰霊祭を行いました。」
と書かれています。
↓↓↓

http://www.nipr.ac.jp/jare-backnumber/now/back49/20081222.html


現在、像は極地研究所で保管しており、今回の企画展示で、南極・北極科学館で

展示させていただけることになりました。
しかし、過去の資料を調べ、解説パネルを作成して、さぁ、観音像を展示するぞ!というときに、
「阿弥陀如来像」と書かれている資料を発見します。


あれ?阿弥陀様?観音様じゃないの…??


仏像について不勉強な私たち。
お姿の違いや印の結び方の違い等など、いろいろ調べましたが、
この慰霊の像が観音像なのか阿弥陀如来像なのかが分からず、
展示できないまま、年を越してしまいました。

その後、極地研アーカイブ室の皆さんにも調べていただき、
やはり観音像ではなく、阿弥陀如来像ということが判明しました。

第49次隊の越冬隊長だった牛尾収輝(うしお しゅうき)准教授によると
「当時はあまり考えず、誰かがそう呼んだかで、観音像と称していた」とのことです。

過去の資料でも、「観音像」の記述が多かったので、
きっと隊員の間で代々伝えていくうちに、どこかで阿弥陀如来から観音に変わったのでしょうね。


昭和基地で、50年もの長きに渡り、カラフト犬を慰霊した阿弥陀如来像。

P1070623

ご来館の際には、手を合わせて、カラフト犬の霊がやすらかになるよう祈っていただけると幸いです。


【南極・昭和基地】午前4時(日本時間:午前10時)
天気:晴れ
気温:-4.4℃
風向・風速:北北東1.5m/s
日の出:−−−−
日の入:−−−−

白夜49日目!

【東京都立川市】午前10時
天気:晴れ
気温:6.3℃